第2回 インタビューゲスト
ミュージカル「ア・ソング・フォー・ユー」脚本家
鈴木 聡さん

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 第2回のゲストは、福生に実在するライブハウス「UZU」をモデルにしたミュージカル「ア・ソング・フォー・ユー」を手掛けた、脚本家の鈴木聡さん。
 ご自身も学生時代、度々福生を訪れており、音楽、ファッションなどを通じてアメリカンカルチャーの影響を受けたとのこと。そんな鈴木さんに、ミュージカルのお話から福生への思いを伺いました。

福生との出会いは?
 僕自身は、杉並(西荻窪)の出身ですが、高校は国立でした。その当時、音楽をやっている友達が、たぶん米軍の人だったと思うんですが、福生でバンドをやっているアメリカ人と仲良くなって。そんな縁から、音楽を聴きに来たのが福生との出会いだったんです。今考えると、その場所は今も市内に点在する、米軍ハウスのひとつだったんですよね。
ミュージカル「ア・ソング・フォー・ユー」の舞台は福生ですが、その理由は?
 ミュージカルをつくるに当たって、その舞台をアメリカに近いところにしたいと思って。米軍基地のあるまちにしようと思っていたら、高校時代の記憶にあった福生に辿り着いたんです。
 調べていくうちに、市内にある「UZU」というライブハウスの存在を知って、そこのホームページにはベトナム戦争が終わった夜の話が書かれていて。その話が感動的だったんですよね。取材をかねて「UZU」にお邪魔して、ママさんから色々と話を聞いて・・・この場所を舞台にしようと決めました。
「ア・ソング・フォー・ユー」の設定は1970年代で、楽曲はカーペンターズですが?
 1970年代は、1960年代の続きという考え方もありますが、僕にとっての1970年代は、1980年代の始まりというイメージなんです。
 みんながおしゃれになってきた時代で、「学生運動なんて絶対にやらないぞ!」、「とにかく楽しいことだけやっていこう!」というような感覚が強かった。音楽も反戦フォークソングや「かぐや姫」の「神田川」から「ユーミン」に変わってきて。「これからの時代はアメリカ映画に出てくる、おしゃれな時代になっていくんだ」というような夢があったように思います。
 同時に、1980年代の消費時代に向かっているという、何か「ポッカリ」とした感覚のある時代でした。その感覚と「カーペンターズ」が、僕の中では結びついたんです。
 「カーペンターズ」といえば、僕の中では1970年代というイメージで、その頃は深夜放送全盛の時代で、ヒットチャートの番組も沢山あった。「ジョン・レノン」の「イマジン」を、リアルタイムで聞いていた時代です。当時の中高生の間ではロックミュージックが全盛でしたが、そんな中「カーペンターズ」が登場したんです。
 「カーペンターズ」の音楽は快いんですよね。ロックを聴いている連中には、「甘ったるい音楽」というイメージがあって、クラスの友達に「カーペンターズが好きだ」なんて言ったら、思いっきり馬鹿にされるという感じでした(笑)
ミュージカル「ア・ソング・フォー・ユー」で伝えたかったことは何ですか?
 1970年代は、何に向かっているのか分からないんですけど、根拠なく楽観的でしたし、自由な気分だったり、何か明るいものを感じる時代だったと思うんです。伝えたいことがあったとすれば、その1970年代中盤の空気感みたいなものだと思うんです。
 当時はベトナム戦争もあり、福生でも反戦デモが沢山あったと思うんです。そんな中で、国道16号線沿いに立ち並ぶショップは、憎むべきアメリカの象徴であると同時に、若者が憧れる、とてもおしゃれな場所だった。僕らの世代のファッションやカルチャーの始まりがそこにはあったんです。
 正直、そんなアメリカに対する複雑な想いもあった。だから福生にもいろいろな想いがある。伝えたいことがあるとすれば、そういう想いなのかもしれません。
福生の中で、好きな場所はありますか?
 もちろん「UZU」は好きな場所ですね。そして、福生駅東口の繁華街は、どこか日本ではないイメージがあって面白いですよね。1970年代当時のイメージとは違っていますが、今でも、どこか日本ではないイメージがあります。スナック街を通りながら昔の歓楽街だったことを考えると、感慨深いものがあります。
 それと、国道16号線沿いのショップが、今でも当時の面影を残していて非常に面白い場所だと感じます。
福生への想いやメッセージをお願いします。
 日本という国を考える上で、福生は、歴史的にアメリカ(基地)との関係から、政治的なまちであるのと同時に、世界的なドラマがあるまちだと思います。ファッションや音楽、カルチャーといった部分で、いろいろと発信をしてきたまち。様々なことを包含した、現在を考える上でのスタートラインとなるようなまちなんだと。
 福生に人を呼ぶなら、アメリカの音楽やファッションは大きな財産だと思います。また、スナック街を昔の歓楽街のように活性化させて、インターナショナルなイメージを作り上げていくのも面白いかもしれませんね。

 鈴木さんのお話から、1970年代当時の混沌とした、それでいてとても前向きで明るく、熱気に溢れる雰囲気が伝わってきました。
 福生は、歴史的にも音楽やファッションといったカルチャーの発信拠点として、また「スタートラインとなるようなまち」という言葉がとても印象的でした。
 福生を舞台にした作品を、是非また、お願いします!

ミュージカル「ア・ソング・フォー・ユー」

1970年代の福生。横田基地から飛び立つ飛行機の爆音轟くこの町には多くのライブハウスが林立し、音楽好きな若者が集まってきていた。とあるライブハウスで一人ロックバンドとしてステージに立つ征司は、カーペンターズシンガーとして人気のSHOKOと出会う。 (中略)征司とSHOKOの不器用な愛と、彼らを取り巻く人々の姿を、珠玉のカーペンターズ・メロディとともに描くオリジナルミュージカル。

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